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ダムがもたらしたもの。 in Aswan, Abu Simbel

早朝4時半頃の飛行機でAbu Simbelというところに向かう。途中Aswanの空港に着陸して、客を広い、たどり着いたAbu Simbel。空から見下ろした空港は、滑走路の回りも肌色の砂、砂漠の中の空港といった様相であった。

この街での目的はただ1つ。ラムセス2世の築いた神殿の見学である。
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古代エジプト第19王朝のファラオにして、90歳前後まで生きた王は、60年を超える在位期間のうちに、数々の遠征を繰り返し、強大な権勢を誇ったと言われている。その長い在位期間に、この国の至る所に神殿を築き、自らの巨大な像を残し、古代エジプトの最も有名な王の1人である。

アスワン・ハイ・ダムの建設に伴い、最新の技術によって移設されたこのAbu Simbelの神殿は、背後をコンクリートのドームが包み込むような形で保存されているそうだ。そのドームを覆う砂山を回りこむ形で神殿の正面に出てくると、4体のラムセス2世の巨大な像が姿を見せる。ここを訪れる多くの人の例に漏れず、自然と感嘆の言葉を発していたと思う。こういう時、「すげぇ。」という以外に適当な言葉が見当たらない。
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そして、この神殿の感動は、その中に入って一層大きなものになったような気がする。比較的保存状態の良い繊細な壁画が壁や巨大な柱の全面に描かれ、写真撮影の禁止された神殿内では、多くの人がその素晴らしいシーンを堪能し、記憶に残そうと、食い入るように眺めていた。

大神殿の隣に、小神殿がある。ラムセス2世が王妃ネフェルトアリのために築いた神殿だそうだ。確かに大神殿と比べれば小さいが、それでも正面に並ぶラムセス2世の立像4体と王妃の2体はいずれも巨大なものである。
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神殿の見学を終えるとすぐに空港へ。朝7時過ぎに降り立った空港から10時過ぎには飛び立つという超強行軍の旅程となっている。

Aswanに着いてまず訪れたのが、アスワン・ハイ・ダムである。1970年に旧ソ連の支援を受けて完成したダムは、幅3600メートル、高さ111メートルという壮大なスケール。遺跡の水没や、下流域での土壌痩せ等の功罪も指摘されるが、ナイル川の治水、国内全域への電力供給を行う水力発電等、この国に無くてはならない存在となっている。
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ダムを後にし、ボートでイシス神殿のあるアギルキア島に渡る。
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この神殿も元々はフィラエ島という島にあったのが、ダム建設に伴い移設されたそうだ。元あったフィラエ島はイシス神がホルス神(正直、何でもかんでも神なので、消化しきれない…。)を生んだ島として知られ、その場面を描いたレリーフや、ヒエログラフが細かく刻まれた壁画などが、比較的良い状態で保存されていた。
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今日の観光の最後に、「未完のオベリスク」として知られる場所を訪ねた。
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オベリスクというのは、太陽神のシンボルとして建てられた尖塔のことを言うそうだが、本来は一枚岩で作られる。ここに未完として残っているのは、切り出している最中にヒビが入ってしまい、製作失敗に終ったということらしい。何てことのない石切り場のようなところだが、「何てことない」と感じるのは、この切り出しの跡が、「何千年も前の技術によるものである。」ということを感じさせないからだろうか。ちなみに、古代エジプトのオベリスクは欧米の色々な場所に運ばれ、例えばParisのコンコルド広場、Londonのテムズ河畔、バチカンのサン・ピエトロ広場等に立っているそうだ。

観光を終え、眠気と暑さに負けてホテルで休息。Cairoの気温はそれほどでもなかったが、ここまで南に来ると30度を超えている。夏には50度を超えると聞くが、そこまでいかずとも、Londonの気温に慣れた身体にはかなり厳しい。

隣のホテルは、偶々アガサ・クリスティがそこに滞在して執筆した、「ナイル川殺人事件」の舞台オールド・カタラクトだった。
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リゾート化された風景ではあるが、ナイル川の向こうに荒涼とした砂岩の大地や遺跡が眺められ、独特の景観となっていた。
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この場所がリゾートたり得るのも、ダムによってナイルの流れが統制されたからに他ならず、リゾートは巨額の外貨を運び入れてきたはず、ダムの建設はこの国に様々な意味で変化をもたらしてきたのだろう。

  by gentlemandinner | 2008-03-09 22:23 | travel

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